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後ろに明日は無い

ジャニーズとか。バンドとか。

2015-8-5 【V-NATION】WHITE JUDAS(ex.ViViD シン)

 

 

今年V-NATIONに出演するアーティストの中に、ひとつだけ謎に包まれたアーティスト名があった。

 

WHITE JUDAS

 

これが彼の、この日のために付けられた新しい名前。

 

私はWHITE JUDASの初ステージを見届けるため、東京へ向かった。

 

 

国立代々木第二体育館

 

WHITE JUDASの出番が来るまでのアーティストさんの感想はまた別の記事で。

 

 

彼の出番は4番目だった。

 

会場は、ステージの幕があっても出入り口付近からステージの様子が見える作りになっており、転換の時間で飲み物を買う列に並んだ時に白い衣装を着た人たちが準備しているのが見えた。

 

もしかしたら次はシンなのかもしれない。

 

そう思ったらこんな列に並んでる場合ではないという気持ちになり、飲み物を買うのを諦めて急いで座席に戻った。

 

するとすぐに会場の照明が落とされ、演奏が始まった。

 

ViViDの楽曲「Dear」の始まりの音によく似た音。

 

ステージは青白い照明に照らされているがまだ幕は開かない。

 

ギターの音と共に聴こえてきた歌声は、ずっと待ちわびていた声。

 

ゆっくりとステージの幕が開く。

 

 

『再生』

 

白い衣装を身に纏い、白いベールのようなものを頭にかぶり、白いギターを弾きながら歌う姿がそこにあった。

 

その歌声は伸びやかで力強く、静かに、波のように会場を飲み込んでいく感じがした。

 

L'Arc-en-CielのHYDEさんを彷彿とさせる歌声。

 

途中、白いベールが頭から落ちた。

 

それが私には、やっと正体を明らかにしてくれるサインのように思えた。

 

ギターを弾くのをやめ、マイクを握った右手の仕草はシンそのもの。

 

そこにいるのは間違いなくシンだった。

 

 

次に始まった曲はアップテンポな曲。

 

 

『O love divine and golden』

 

シンは歌い始める時にこう言った。

 

「みんなの声を聴かせてください!」

 

その気持ちにこぶしで応える会場。

 

聴こえてきた英語の歌詞にシンらしさを感じた。

 

曲が終わるとステージの照明は落とされ、シンだけに光がふり注ぐ。

 

「あのー…今日はいろんなたくさんのバンドのファンの方がいると思いますが、ひとつ言わせてください。ただいま。」

 

会場から「おかえり」の声と、彼を呼ぶ声が響き渡る。

 

一度下を向き、顔を上げたシンは照れ臭そうな、嬉しそうな笑顔を見せた。

 

そしてまたゆっくりと話し始める。

 

「あのー…自分のバンドが解散して、ひとりになってこのお話を頂いて…。所属していた事務所もレコード会社も、今の自分なら大丈夫だって、いけるって思って強気で辞めた。でも、ここにくるまでの間に、苦しいことも、辛いこともいっぱいあった。V-NATIONに出るのをやめてしまおうかと思う程、心が折れそうになったこともあった。」

 

シンの目が次第に潤んでいくのがわかった。

 

声が震え、言葉に詰まりながらも思いを伝えてくれるシンに私は涙をこらえきれなかった。

 

「ゼロになって…それでも今こうしてここにいられるのは…家族だったり仲間の支えがあったから。そして何より……ファンのみなさんの声があったから。」

 

そしてここからのMCの記憶が無い、本当に申し訳ない。

 

MCの終盤にシンが言った言葉がとても印象的だった。

 

「次会うときは、ちゃんと自分の名前をみんなに伝えられるようになっていたい。」

 

 

 

『hameln』

 

このMCからの流れで聴く「hameln」という曲は、とても心に沁みた。

 

正直言うと、私はもっと強気で希望に満ちたMCが聞けると思っていた。

 

「僕は歌い続けたい」

 

あの日、涙を流しながらそう言った彼には、私も”シンなら大丈夫”と思えるほどのオーラを感じていた。

 

だからこそV-NATIONでは今後について明確なことを教えてくれるんだとばかり思っていた。

 

しかし、新しい一歩を踏み出す彼の最初のステージで聞かされたのは、ひとりになったことで味わった苦悩。

 

バンドが解散して、それぞれが違う道を歩み始めて。

 

事務所に残った人と去った人。

 

どちらの方が大変かなんて気付いていたはずなのに…

 

私は何も分かっていなかったのかもしれない。

 

 

ギターを弾くシンの姿を見るのは初めてだった。

 

この日のためにずっと練習してきたのかと思うと、とても愛おしく感じた。

 

シンの歌にも成長を感じた。

 

それなのに、私は探してしまった。

 

あの4人の音を探してしまった。

 

この曲たちは、あの4人ならどんな音色にしたんだろう。

 

真ん中にいるのはシンなのに、シンを見ている気がしない。

 

4人の顔がちらついて曲に集中出来ない。

 

私はいろんな思いが込み上げて来て、しばらく涙が止まらなかった。

 

 

「ラスト、この曲は辛かった、苦しかった時に生まれた曲。この曲に込めた想いがどうかみなさんのもとへ届きますように。『TERRITORY』」

 

 

『TERRITORY』

 

この日、全く彼は会場を見渡そうとはしなかったのだが、この曲でマイクから離れたほんのわずか一瞬だけ、下手側を見てくれた。

 

その時、以前シンがライヴのMCで言っていた言葉を思い出した。

 

「ライヴで歌ってるとき、たまに孤独感に襲われることがある。みんないるけどひとりで歌ってる感覚になるときがあって、そういうときはライトを見るの。そうすれば目がつぶせるから。」 

2015-3-29 ViViD 名古屋CLUB QATTRO - 後ろに明日は無い より

 

4曲の中でこの日、彼が目をつぶすことはあったのだろうか。

 

 

演奏が終わろうとした時、静かにステージ横の幕の紐が下されたのが見えた。

 

このまま終わらせようとしているんだとすぐに分かった。

 

徐々に幕が閉められていく中で、彼は最後の最後にこう言った。

 

「ありがとう。シンでした。」

 

それまでやってきたバンドの中で一番の歓声が上がった。

 

 

この最後の言葉、「シンでした。」を何故彼は言ったのか。

 

それは自分の名前は次会うときにと言ったのに、一部のファンがシンの事を「RIO」と呼んだからだと考えた人もいるが、私は少し違うと思った。

 

この日シンが言った、苦しかったこと、辛かったこと、心が折れそうになったことの中に、TwitterでWHITE JUDAS RIOを名乗るシンの偽物と思わしきアカウントの存在があるような気がしてならない。

 

 

このツイートを見ると余計にね。

 

しかしMCで言った「次会うときは、ちゃんと自分の名前をみんなに伝えられるようになっていたい。」という言葉と、最後に言った「シンでした。」は同じ意味では無いような気がする。

 

自分の名前をみんなに伝えられるように、の”名前”というのは、おそらくプロジェクト名「WHITE JUDAS」のこと。

 

 

この名前に込められた真意は彼にしか分からないが、きっとこの名前で活動するのはこの日限り。

 

次会うときはちゃんと準備を整え、しっかりとした形で私たちの前に姿を見せようとしてくれているのではないだろうか。

 

 

だからWHITE JUDAS”0になるための挑戦”であり”点と点が線で結ばれる”ための”大切な点”なのではないか。

 

そして最後の「シンでした。」という言葉、これは幕が閉まりきる直前で彼が咄嗟に出てしまった言葉だと最初は思った。

 

RIO」と呼んだ人に向けての言葉とも感じた。

 

WHITE JUDASとして突然姿を現し、正体を一切口にしなかった彼が最後に言った自分の名前。

 

私たちが深読みしすぎていて、本当は特に何でもない意味の無いことなのかもしれないけど、私はこれからも「シン」であり続けるという意味なのではないかと考えた。

 

「シン」という名前は彼が初めてバンドを組んだときからずっと使っている名前だと聞いたことがある。

 

きっと彼は歌い続ける限りずっと「シン」で、名前を変える気は無いのではないか。

 

結局、あの状況で一番しっくりくる理由はやっぱり「RIO」と呼んだ人がいたから、なのだが。

 

 

思い返せば、シンが笑顔を見せたのはおかえりという声を聞いたときだけだった。

 

あの時彼は何を感じたんだろう。

 

シンは天然でほわっとした雰囲気があるが、実は結構ネガティブで考え過ぎる心配性なところがあるように思う。

 

弱ってるときは何も言わず、しばらくしてからいつも明かしてくれる。

 

 

側にいてくれてありがとうなんて言ってくれてはいるが、いつも同じような言葉でしか伝えられてないからもっとちゃんとした励ましの言葉を届けたい。

 

この人から目を離してはいけない。

 

ちゃんと支えてあげなくちゃって思った。

 

 

 

 

 

 

ViViDが解散して一番辛かったのは、ファンよりもメンバー達なんだと気付かされた。

 

私たちがくよくよしていたら、一体誰が彼らを支えられるというのか。

 

次にライヴをするのはイヴ。

 

 

もうヴィジュアル系ではやらないと言われてしまったが、どこにいても彼は自分を貫いて生きていくんだろうなと思う。

 

 

そして彼らは壁にぶつかる度に思い出すのだろう、ひとりではないということに。

 

 

今回のV-NATIONで私が思い知らされたことは、シンの歌声を聴くと4人の姿を探してしまう、誰かひとりに会えば他の4人を求めてしまう程ViViDが恋しくなるということ。

 

この日、夜寝る前に私がウォークマンから流した曲は、ViViDの「LETTER」と「Good Morning World」だった。

 

あの時、無意識に私が求めていたのはこの音達と歌声だった。

 

バラバラになった5つのピースはもうひとつにはならない。

 

解散するということがどういうことなのか。

 

それぞれのメンバーを応援していくということが想像以上に辛くて、苦しくて。

 

私は泣きながらいつの間にか眠ってしまった。

 

 

次に私が会うことになるのは零乃と怜我。

 

その時、私は泣かないでいられるだろうか。

 

少しずつ、強くなっていこう。

 

少しずつ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【追記】

nscrew.hatenablog.jp

2016年12月24日、六本木に行ってきました。